大学による大学職員向けプログラム等の紹介ー「SD」の参考にー

twiiterでは書ききれないので久しぶりに記事にしました。
 
先日某地方私立大学で働く方から質問を受けました。
「地方にいながらも本学職員が受講できる大学職員向けプログラムはないか」と。
ざっくりではありますが、そこで提供した情報を少しアレンジしてまとめてみました。本来なら比較表を作ってわかりやすくしたいところですが、今回はリンクのみです。
 
今回は、高等教育機関が提供する、高等教育、大学経営または実務に関連した分野をある程度継続的又は体系的に学べるプログラムを選びました。
ただし、各大学や団体、持ち株会社含む企業等によるものは除外しました。*1
また、学士課程も除きました*2
少なからずバイアスを含むのはご容赦を。
なお、並び順は適当(原則東→西の経度順)です。
 
1.大学院学位取得型
 
東京大学:教育学研究科 総合教育科学専攻 大学経営・政策コース
http://ump.p.u-tokyo.ac.jp/
 
桜美林大学:大学アドミニストレーション研究科(通学課程) | (通信教育課程)
http://www.obirin.ac.jp/postgraduate/graduate_course/index.html

名古屋大学:教育発達科学研究科 教育科学専攻 高等教育学講座
https://www.educa.nagoya-u.ac.jp/faculty/index_e_e04.html

京都大学:教育学研究科 教育科学専攻 高等教育開発論講座
https://www.educ.kyoto-u.ac.jp/graduate/research_content/education_science/higher_education_development_theory_course

広島大学:教育学研究科 高等教育学専攻
http://rihe.hiroshima-u.ac.jp/education/graduate-overview/


※一部科目履修制度あり。
名城大学に学校づくり研究科がありましたが、既に募集停止。
※2018年度より、追手門学院大学が大学院経営・経済研究科に大学経営に特化した研究領域を設置予定(↓URL参照)。
http://www.yomiuri.co.jp/adv/local/release/00025735.html
 
2.履修証明プログラム
 
東北大学:LAD(アカデミック・リーダー育成プログラム)
http://www.ihe.tohoku.ac.jp/CPD/lad
 
千葉大学:ALPS履修証明プログラム(アカデミック・リンク教育・学修支援専門職養成履修証明プログラム)
https://alc.chiba-u.jp/ALPS/sd.html
 
筑波大学:Rcus大学マネジメント人材養成
http://www.rcus.tsukuba.ac.jp/program/index.html
 
京都大学:私学経営アカデミー ※「職業実践力育成プログラム」
https://www.coc.kyoto-u.ac.jp/event/view/6
 
 
3.オンライン
 
東北大学PDP(専門性開発プログラム) Online
http://www.ihe.tohoku.ac.jp/CPD/PDPonline/
 
ペンシルバニア州立大学:Master of Education in Higher Education
http://www.worldcampus.psu.edu/degrees-and-certificates/higher-education-masters/overview
 
4.番外編:最近流行りのIR初級者向けオンライン講座 ※一部大学外
 
ペンシルバニア州立大学:Graduate Certificate in Institutional Research
http://www.worldcampus.psu.edu/degrees-and-certificates/institutional-research-certificate/overview
※その他、海外大学のオンラインIR履修証明プログラムは↓(藤原2015)を参照
http://iir.ibaraki.ac.jp/jcache/lib/docu/001_h2702/001-h2702-31_fujiwara.pdf
 
gacco:「社会人のためのデータサイエンス入門」(J-MOOC)
http://gacco.org/stat-japan/
 
gacco:データサイエンス・オンライン講座(J-MOOC)
:「誰でも使える統計オープンデータ」
http://gacco.org/stat-japan3/
 
以上です。
念のため、この情報を読む際の注意点が3つあります。
1つ、筆者がすべてを受講したわけではなく、その質を保証するわけではありません。同時に、ここに書かれていないものの中にも質の高いものがあるかもしれません。
2つ、提供者やプログラム名は違えど、同じようなことを学べる機会は他にも多々あります。例えば、他の研究科や専攻でも大学経営・高等教育を専門に研究している教員や学生はたくさんいます。また、同じくくりでまとめたものでも、カリキュラムや専任教員数、学生数にはばらつきがありです。
3つ、単発物でも最近はデータ分析系のセミナーは数多く、使用する統計ソフトやレベルも多様です。↑にはオンラインで受講可能なIR初級者向けプログラムを挙げましたが、それぞれの技量や使用ソフトに応じて自分で探すのが一番良いかも知れません。例えば、参加資格は限定されますが、ある程度知識や経験のある人であれば、東京大学社会科学研究所の計量分析セミナーはSPSS、Stata、Rなどの各種統計ソフトを用いた分析手法を、更にはSSJDAに登録されている質の高いデータを利用し、非常に安価で学ぶことができる貴重な機会です*3。 
 
ここに書いたような情報はごく一部です。
募集時期が限定的だったり、コンペティティブですぐに定員が埋まってしまうものもありますので、普段からアンテナを張っておくとよいかもしれません。
これらの情報が踏み台となり、自らあるいは自大学職員に合うプログラムを探したり、試しに受講したりするきっかけになれば幸いです。

 

*1:各大学内部のものは多々ありますが、例えば上智大学の「大学マネジメント講座」など。http://www.sophia.ac.jp/jpn/info/news/2016/9/globalnews_2051/20160928press 企業(大学の持ち株会社)によるものは早稲田大学アカデミックソリューションのQUONアカデミーなどがあります。https://www.quonb.jp/university/sdseminar.html

*2:大正大学 教育・学校経営マネジメントコース

*3:http://csrda.iss.u-tokyo.ac.jp/seminar/quanti/2017summer/

大学への機関補助から学生への個人補助への転換(高等教育バウチャー)について

2,3年前から、いつか実現したいと思っている政策を今日はざっくり書こうと思う。

 

現在、国公私立あわせて毎年度約1.9兆円の大学への機関補助のうち、7千億円(4割程度)ほどを個人補助へと切り替える。7千億円という数字は、高等教育への初年次参入に対して、一人当りこれぐらいあればなんとかなるであろう金額から導いたものである。

 

仮に7千億円を個人補助として、その分配方法は、18歳以上の年齢からいつでも使える100~120万円の使途限定高等教育バウチャーの配付。使用のタイミングは25歳だろうが30歳だろうがいつでもよい。

 

根拠は、政府による高等教育を受ける者への投資効果は大きくプラスである一方、高等教育へのアクセス機会は世帯所得や親の属性、社会的立ち位置による影響を受けるから。機関補助中心であることが機会格差縮小を妨げ、投資効果を弱めている。これは、全くもって社会や経済の一般均衡解ではない。

 

個人補助のメリットは、高等教育アクセス機会の均等化、アクセスにおける世帯所得等の影響の緩和、行政コストの削減、大学の事務負担の軽減、学費価格設定の適正化(市場化)、学生本人の学費負担の自覚の促し等にある。

デメリットは、想像力の欠如かもしれないが、ほとんど思い当たらない。あえて、「部分均衡」的なものをあげれば、どこか仕事がなくなる部局や組織が出てくること。そういうところは、存在意義は別のところで発揮できるよう自分たちの仕事を考え直せばよいし、それができないなら淘汰されればよい。行政側である場合、コストカットした上で税の投資効果を上げられるならそれより望ましいことはないし、それによって存在意義がなくなるようならそもそも社会に必要ないのではないか。他の部局や産業に労働力等の資本が流れたほうが効率的である。

 

あとは、マイナンバーを使うことになると思うが、これはリスクであってデメリットではない。また、政府と本人間における資源分配であるゆえ、教育バウチャーについては学校がマイナンバーの収集や保守をする必要はないし、また、マイナンバーを使うリスクは他制度でも同様であり、高等教育政策に限った話ではない。

 

ちなみに、たまに提唱される高等教育の無償化には2.5兆円ほどしかかからないという試算があるが、その程度なら無駄な医療費を削れば簡単に捻出できるという意見もある。これについては、私も社会保障に関する実務経験(審査側)を経て、本当にそうだと実感するし、実現願いたい。が、「医療費削減→成人の教育費への充填」は、世論も業界団体も厚労省も激しく抵抗するだろう。おそらく、他のテリトリーとのパイの奪い合いより、高等教育予算内での分配方法の転換:機関補助→個人補助のほうが現実的である。

 

さて、学生視点にたつと、初年次に120万円あれば、たいていのケースは最短でも半年はもつだろう。高等教育への参入障壁の軽減という目的であれば、これで必要最低限は満たせると思う。あとは、成人であれば、バイトや奨学金の獲得や人脈で上手くやっていく必要がある。もちろん、大学や回りの人からのサポートがあるに越したことはない。

 

「機関補助が減ったら学費上がるよ」ということであれば、上げればよい、というより上げて然るべき。ほぼ横並びではなくて、インプットの費用または限界効用から独自に価格設定すればよい。自分のところの教育サービスにどれだけの価値や評価があるか再確認し、需要と照らし合わせながら価格を設定すればよい。もしそれに自信があるとすれば、高価格にすればよい。国立のほうが本当に質の高い教育サービスを実現しているなら、それを価格転化すればよい。

 

この業界の悪いところだが、理念とかいう何も根拠もない訳のわからないものではなく、エビデンスベースで政策考えるべきである。政策は宗教じゃないんだから。
毎年のように「新しい分配政策を思いついた。どうだ⁉」と、根拠に乏しく、また各々の専門家から「この支給基準や要件はなんだ?」と思われるような政策を打ち出していく様は、「裸の王様」のようにも見える。

 

やりたい政策から資源分配を考えるんじゃなくて、実証や過去の検証、評価を踏まえて導き出した効率的かつ効果的な資源分配から取るべき政策を立案していかなくてはならない。無限または余裕のある私費じゃなく、有限で予算制約の厳しい税金使ってるんだから。

 

Amazon CAPTCHA

 

Amazon CAPTCHA

 

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/062/gijiroku/__icsFiles/afieldfile/2015/02/02/1354813_7.pdf

 

http://www.kodaikyo.org/wp/wp-content/uploads/2014/12/factbook_2013.pdf

 

http://www.shigaku.go.jp/files/s_hojo_h27.pdf

大学、高等教育における不易流行

古典はあまり得意ではなかったが、昨日見つけた今の心情を表す良い言葉。

 

「不易を知らざれば、実に知れるにあらず」服部土芳『三冊子』
「不易を知らざれば基立ちがたく、流行を知らざれば風新たならず」向井去來『去来抄

 

※永久不変の真理の価値を知らなければ基礎を確立することができず、一方で時代の変化を理解できなければ新しい発展は望めない、変化の本質を理解できない(個人的解釈・意訳)。

 

大学を巡るデレック・ボックとトリプルヘリックスの対比に触れた後、これは心に染みる。
最近は高等教育の古典に触れるのが楽しい。

 

※参考

商業化する大学 (高等教育シリーズ) : デレック ボック : 本 : Amazon

トリプルヘリックス―大学・産業界・政府のイノベーション・システム | ヘンリー・エツコウィッツ, 三藤 利雄, 堀内 義秀, 内田 純一 | 本 | Amazon.co.jp

カント全集〈18〉諸学部の争い・遺稿集 : イマヌエル カント : 本 : Amazon

アメリカの反知性主義 : リチャード・ホーフスタッター, 田村 哲夫 : 本 : Amazon

Amazon.co.jp: 大学で何を学ぶか: J.H.ニューマン, ピーター・ミルワード, 田中 秀人: 本

 

今日一番共感した言葉

「真理を追求するあまり、公の仕事をなおざりにするなどは義務に対する違反である。何故なら、美徳が賞賛されるのはすべて行動によるからである。しかしながら、行動はしばしば中断されることもあり、その時我々は再び真理を追求するのだ。精神の間断ない活動が我々の側の努力なしに知識の追求へと我々をいざなう程力強いとは言わぬまでも。」(キケロ

 

最近耳にしたどの情報よりも、この2000年前のキケロの言葉に最も共感を抱いた。これは約150年前のJ・H・ニューマンの講演録がまとめられた邦訳書、『大学で何を学ぶか』に記されたものである。

 

……余談だが、100年前も、200年前も、イギリスなどの諸外国で大学を巡る今と同じような議論があった。その中で、今も残っているもの、歴史とともに消えていったもの。消えていったものは、(あくまで)現時点での評価として、たいした問題ではなかった話だということだろう。今も色々な人が本を書いたり記事を書いたり、大仰な会議で審議したりとしているが、果たしてどれだけ残るだろうか。


ここから改めて気づかされることは2つ。第1に、真理は時を超えてもその輝きを失わない。第2に、「知」の時空を超えるスケールの大きさ。


さて、最近の人文学系の改廃是非の議論ではあまり聞かないが、ニューマンの話にも挙げられている通り、知は「手段」であるか、「目的」であるかという議論は昔からある。

なお、学教法第83条は「手段」として書枯れているように読み取れる。

そんな法律の条文とは関係なく、私自身のことを言えば、これまでは知を「手段」としてばかり考えていたのに、最近はそれ自体を「目的」として楽しんでいる自分がいることに気付かされる。


大学教育における「リベラル」とは何なのか。何に対しての「リベラル」なのだろうか。「servile(奴隷的)」の対義語だとニューマンは言う。

 

今になって、教養教育でもなく、何にも隷属しない、これこそが「リベラル」な知なのだなと、社会人として学ぶ側になって初めて理解する。


現代への含意がある古典に触れた時の感動は並みじゃないなあ。

 

www.amazon.co.jp

大学における意思決定に必要な情報の入手-外部機関に頼むという手段-(私立大学の例)

中長期計画の策定や広報、各種委員会委員など、大学経営にも関わっている知人の大学教員の方から、次のようなことを時折耳にします。

 

「学生募集策や教育内容の改善のために、これからは○○を特色にして学生募集やカリキュラムの整備に取り組もうと職員や教員に提案すると、△△課の職員(または教員)から『そんなことをしたら学生が集まらなくなる。無理だ。』、『他の大学はそれでうまくいってない』、『失敗は目に見えてる』といった抵抗を受ける。面倒だからか、やる気がないからか分からないが、いくら口で言ってもダメなんだ。本当に危機的な状況になってからでないと、改革は進めらないのかもしれない。」

 

そうした声に対して、(ありきたりな返事ではありますが)私は、

「現状はどうなっているのか、それらの取り組みや改革が有効なのかを裏付け、意思決定の材料となるエビデンスを集めて、それらも併せて見せながら提案していってはどうでしょう?」

と返します。

 

学内にIR担当の人員や部署が存在するのであれば、そうした人や部署に情報収集や分析を依頼することもできるでしょう。しかし、その大学にはまだ「IRer」としての仕事ができる職員や、IR機能を持つ部署が存在しないとのことです。

 

そうなると、まず思い浮かぶ策としては、自分や内部の協力者を中心にデータを集め、分析し、意思決定に必要な情報を用意していくということが考えられますが、元々の自分の仕事に時間を取られたり、専門的にその仕事をしているわけではなかったり、または組織の縦割り文化があったり、入手可能なデータがどこにあるかわからなかったり…といった事情で集められるデータや作業時間には限界があると思います。

 

このようなときには、膨大で多種多様なデータを持つ外部機関を頼るのも一つの手です。その中の一つの手段として、私立学校のデータの入手であれば、日本私立学校振興・共済事業団の情報提供システムや提供依頼を活用するという手があります。

 

大学、短期大学、高等専門学校、高等学校、中等教育学校、中学校、小学校を設置している私立学校法人であれば、私学事業団が左記の学校法人向けに提供している私学情報提供システムを利用して、私学事業団が調査で集めているデータの一部を入手することができます。

地域や規模など様々な条件を付けて、学生数や財務等のデータの集計値等を入手することができます*1

 

ただし、法人内で使用可能なアカウントの数は限られているので、使用に際しては学内で調整が必要な場合もあるかもしれません。また、学校法人によっては、役員以上の一部の者しか存在を知らないというケースがあるかもしれません。

 

まずは上記システム内で必要なデータを揃えられるか試すことになると思いますが、こちらのシステムだけでは入手できない条件のデータを求めるのであれば、情報提供依頼書を提出し、指定の条件に基づいたデータを依頼することもできます*2

例えば、特定地域の、特定の規模以下の、看護系や国際系の学部や学科の志願状況などの量的なデータや、留学を必修としている大学の取り組み一覧等の質的なデータなど、必要な条件に応じたデータを依頼することも可能だと思います。

 

ただし、広報誌やマニュアル等にも一部記載がありますが、3点ほど注意点があります。

1つ目は、提供依頼には原則として理事レベルの同意が必要なことです(これについては、不安な点がある場合は問合せしてみるとよいかもしれません)。

2つ目は、他の法人や学校の個別データの入手や、個別データを特定される恐れのある条件での情報の提供には応じてもらえないことです。

3つ目は、高度な条件付や統計的アプローチに基づいた提供依頼には応じてもらえない可能性があることです。この点については、高度専門的なスキルを持つ大学等の「IRer」の方にとっては残念かもしれません。

 

予め知っている限りで注意点を書きましたが、やはり自分達の入手可能なデータや頭数だけでは、どうしても情報量や人手が足りなくなるケースが発生することもあると思います。

そのようなときには、外部機関の手を借りることも検討してみてはいかがでしょうか。

 

※このブログの内容は個人的意見や見解です。所属組織とは一切関係がありません。

社会科学分野の外部試験活用による学修成果の可視化の一例

他の方のブログ記事*1を拝見し、EREという懐かしいキーワードを見て刺激を受けたので、新しい記事を投稿します。

 

近年、大学において学修成果の可視化が非常に重要視されています。

 

英語力については、TOEFLTOEIC、英検など一般的知名度の高いものが多く、これらを活用している大学や企業は少なくありません。

ちなみに、経済学では経済学検定試験(以下:ERE)というのがあります。これを学修成果の可視化や、さらには単位免除、試験免除に活用している大学は意外と多いのです。

大学や学校での取り組み|ERE 経済学検定試験

 

上記のブログ記事で知ったのですが、青山学院大学の経済学部は、学部生の受験料を全額学部負担するという手厚いサービス。大学ポートレートの学部の特色にも記載がありました。

青山学院大学 経済学部 学部の特色|大学ポートレート

早稲田大学上智大学学習院大学等では大学院入試の筆記専門科目の免除、そのほか、単位認定や学費負担軽減に活用している大学もあります。

経済学部ならERE、法学部なら法学検定など、社会科学系においても学修成果の可視化の材料となる外部テストは、探せば意外と多いようです。

 

ただし、それらの外部試験が、学部ごとのディプロマポリシー、企業等が求める能力に繋がっているかは個別に検証する必要があるでしょう。

ちなみに、私も学生時代にEREを受験しA+ランクを取得しましたが、大学院入試や就職活動ではそれを上手く活用できませんでした。

一方、別の大学で先にSランクを取得していた友人は、就職活動の際に専門的能力や知識を企業から評価されたためでしょうか、シンクタンクに就職し、経済エコノミストとして活躍しています。

もちろん、それだけが評価されての採用ではなかったはずですが、高得点者は実名が公表されるEREのハイスコアという結果に、高度な専門的能力の可視化に繋がるシグナリング機能が少なからずあったのではないでしょうか。

 

本記事で書いたEREや法学検定の他にも、様々な分野で、学修成果を可視化できる外部試験は存在すると思います。

これは完全に余談ですが、最近、私自身や(今後の)部下の心身の健康管理のために、健康管理能力検定*2の2級やメンタルヘルス・マネジメント検定*3のⅡ種ラインケア・コースを受験してきました。

マイナーな資格なので一般的にはあまり知られていないと思いますし、これらが今後の自分のキャリアに役立つかはわかりませんが、ささいな学「習」についても、その学「習」成果を可視化できるものが世の中にはあることに気づきました。

学位といった長期的なものに関わらず、短期的なささいなものでも、こうした外部試験を探し出して活用し、学修成果の可視化や学生の学習意欲に向上に繋げていくことも教学マネジメントの上では重要なのだと率直に感じました。

 

次回は、国立大学の文系学部改廃をテーマにしたIRerの頭の体操をテーマに書きます。 

 

※このブログの内容は個人的意見や見解です。所属組織とは一切関係がありません。

カレッジスコアカード(College scorecard)の紹介

昨日初めて知った「カレッジスコアカード」(アメリカの大学情報検索サイト)。最近できたサイトだそうだ。
ここでは、ほとんどの大学の①年間あたり授業料、②卒業率、③卒業生の10年後の平均年収が検索結果一覧に出てくる。
社会保障番号により、奨学金を受給している学生と国税局の持っているデータを繋げることができるために、このような情報公開が可能になっているそうだ。
日本でも、マイナンバーを活用すれば、学校基本調査と学校法人基礎調査、日本学生支援機構国税庁のデータを繋げて同じような情報を作り出すことはできるだろう(サンプルが偏るかもしれないが)。それを共通の枠組みで公表出来るかというのが、日本の難しいところです。
https://collegescorecard.ed.gov/

collegescorecard.ed.gov

 

個人的には、競争的資金を除き、運営費や経常費補助金による機関補助中心の仕組みよりも、その財源を奨学金の充実に回し個人補助中心の仕組みを作ったほうが効率的になるのではないかと考えています。マイナンバー制度がスタートすれば、学生支援機構等がそれを活用し、一括管理することもできますし。文科省及び外郭団体等の行政コストの削減や、大学の事務負担の軽減、大学市場のフェアな競争環境の整備などを実現することが可能だと考えています。

複雑な補助金の計算やチェック、定義や基準が曖昧な特別補助の必要性はありません。消費者である受験生から評価されている大学には、多くの学生が集まり、学納金を通して間接的に補助金を受け取ることとなります。機関補助がなくなれば学費が上昇するかもしれませんが、機関補助分の金額を学生の奨学金に充てるので、学生の学費負担の大幅な増加は発生しないでしょう。もし、発生したとしても、それはその大学がそれだけ価値のある教育設備や教員、教育研究サービスを提供しているためと説明すれば良いのです。政府が均一の教育研究サービスを保証しているわけではないのですから、画一的な価格設定は不要なはずです。それぞれの大学がそれぞれの規模や特色に応じて、適切な価格設定をすればよいのです。高価であっても、消費者である学生がそれだけの投資価値があると判断すれば、学生は集まるでしょう。

なお、機関補助ではなくとも、学費を通して間接的に補助金を受ける大学には、引き続き情報の公開が求められます。

もちろん、これらの実現には、認証評価機関による大学の第三者評価が機能しているか、優れた取り組みを行っている大学が消費者から評価される仕組みがあるか、といった課題はあります。

しかし、これからの更なる少子化の時代には、本当に経営力や社会のニーズに答える能力のある大学しか生き残れないと思います。上記のような制度転換を実現し、大学業界の市場機能を活性化し、大学の生存競争能力を高めていくことも必要な時代にきていると思うのです。

 

※参考:その他の大学情報検索サイト
・カレッジナビゲーター(アメリカ)
https://nces.ed.gov/collegenavigator/

・大学ポートレート(日本)
http://portraits.niad.ac.jp/

・大学ポートレート私学版(日本)
http://up-j.shigaku.go.jp/

・ユニスタッツ(イギリス)
https://unistats.direct.gov.uk/


追記

編集後に見つけたニュース。ご参考まで。

http://toyokeizai.net/articles/-/87710