私立大学におけるオンライン授業実施における「ログインボーナス」付与制度の考察(4.8、4.15、4.23追記あり)

※前置き

・筆者の印象論も伴う駄文です。より実現可能性の高い内容に昇華させてくれる人が全国のどこかにいることを願い、取り急ぎ、アイデアとこれまでの考察メモを共有します。

・結論から言えば、「一般的にはできそう」です。ただし、あくまで前年までの一般的な私立大学の財務構造を前提としたものなので、「個別大学でできる」ことを保証するものではありません。

・【特に学生や学費負担者向け】一般的に少額のログボならできそう、という内容であり、学費の1割、2割以上返還の実現可能性は低いとみています。これは、大学の学費の対価に関する法令の解釈、学校法人会計の特性を考慮すると、大学の短期間の収支だけで上記割合のような返還を決定するのは難しいと考えられるからです。(2020.4.15追記)

・医学部を設置せず、例年はオンキャンパスで授業を実施している一般的な私立大学の財政構造を前提としています。収支の大まかな内訳は以下のとおりです。

収入→学納金収入:約80%、補助金収入:約10%、その他(付随事業・寄付等):約10%

支出→人件費:約55%、教研費:約35%、その他(管理経費・資産処分等):約10%

 

1. 考察の背景

オンライン学習継続インセンティブ付与のために「ログインボーナスつきオンライン授業」はどうかという意見をSNSで見かけた。最初に呟いた人は冗談で言ったのかもしれないが、

1.挫折しがちなオンライン学習の継続インセンティブを学生に付与する[i]

2.学生のリテンション率維持・向上に繋げ、大学経営の持続可能性を高める(≒未来の学生の学習機会とその質保証を継続する)

3.納入された学費の中から少しでも学生に還元し、学生や保護者との良好な関係を構築する

上記3つを同時に実現可能な良いアイデアだと個人的に感じたので、私立大学でどう設計・運営するか、お金のことも含め少し考えてみた。粗い面がある点はご容赦を。

なお、ログインという単語が適切でない恐れがあるが、社会通用性を考慮して、授業参加に対する金銭(あるいは金銭的価値のある何か)の付与を「ログインボーナス」(以下、「ログボ」と略記)とする。
また、授業運営や学生の動機づけが上手な教員が多数を占める大学、金銭的インセンティブがなくともオンライン授業で決められた時間にログインし、授業に参加し、期日までに課題を出す学生がほとんどという大学では不要な施策と思われる。皮肉ではなく、そのような大学に所属する大学の人であれば、この先は読まなくてよいだろう。

 

2. 財源の考察

簡潔に言えば、オンライン化で例年より浮く事業活動支出減分の金額を「ログボ」に充てる。

支出減が見込まれるのは、オンライン授業・会議の実施や一部委託サービスの利用停止に伴う、教育研究経費(特に光熱水費、旅費交通費、業務委託経費など)、管理経費、人件費支出などの減少である。大学が「1~数か月間オンキャンパス活動を停止」したら、上記の事業活動支出が例年より減る点は概ね同意を得られるだろう。

試しに自大学の一昨年度決算書の数値で試算したところ、教育研究経費に占める光熱水費・旅費交通費・委託業務費が年間10%減の場合、事業活動支出全体にしめる支出は1.4%減という結果であった(人件費は固定:つまり減給無しで試算)。他の費目や季節要因も考慮すれば、より多くの支出減が発生する可能性はある[ii]

他方、「上記支出が減っても減収あるいは別のところで支出増なら資金を捻出できないのでは?」という疑問もある。しかし、半期~単年度で考えた場合、

①中退の大幅な増加(収入減)
補助金不交付(収入減)
③学費未納者の増加(収入減)
④大幅な学費免除の措置(収入減)
⑤オンライン授業環境整備・運営への大規模投資(支出増)
⑥コストのかかる感染防止緊急施策(支出増)

収支の悪化に大きく影響しそうなイベントはこれら6つぐらいではないだろうか。

逆に言えば、これら6つのイベントを回避or抑制できれば、オンキャンパス活動停止に伴う支出減以外は、例年とほぼ変わらぬ財政状況を維持できると考えている。


以下、①~⑥について補足する。

①のイベントは、日本の大学教育に対する価値観が短期間で激変しない限り、ほとんどの私立大学で発生しないと考えている[iii]*1

②は、現時点ではそのような情報は聞いておらず、今後される理由も思い当たらない[iv]

③と④は、いわゆる「学費返還[v]」要望の声が今後国内でどうなるかにも左右される気がするが、もし要望の声が広がったとしても、判例[vi]の踏襲と大学の弁明で返還や免除はしなくて済む&在学中の学費は請求できる、という楽観論はある。しかし、仮にこの解釈が妥当で押し通せたとしても、大学として学生や保護者に誠実な対応をしているとみなされるだろうか。このような考察を踏まえ、本稿の「ログボ」制度は、今後起こり得る③と④に係る問題の事前回避策も兼ねて設計していることを予め言及しておく。

⑤は今のところ、既存契約内で使用率の低かったサービスの活用や、政府・企業からの支援で何とかなっているので、新たな大規模投資の必要性はあまりないと考えている[vii]

そして⑥は、現時点ではマスクや消毒材の調達、安価なWEBカメラやマイクの購入等に留まっており、通常のキャンパス運営から見積もった消耗品予算で何とかなるのではないかと推察している。*2

粗々ながらも以上の考察から、オンキャンパス活動の停止から事業活動支出の減少が見込まれ、かつ大幅な支出の増加・収入の減少イベントはほぼ発生しないことが想定される。この2つの前提に立ち、次節でオンライン授業運営における1コマ当たり、1授業当たりの「ログボ」の試算結果を説明する。

 

3. 授業1回あたりで出せそうな「ログボ」の試算結果

「5%は無理じゃないか」という声もあろうが、事業活動支出の5%、2.5%、1.0%の事業活動支出減があり、かつ浮いた金額をほぼそのまま「ログボ」に投入した場合の試算結果が表に示した値である。*3
なお、学生数3万人&財政規模500億円の文理系学部含む総合大学(学生数は文系8割:理系2割)を仮定した場合の試算だが、医学部を持たない文理系の複数学部設置大学であれば学生数と財政規模はほぼ比例するので、1人当たり金額は中小規模になってもさして変わらないはずだ。

試算の結果、授業1回あたりの「ログボ」は、事業活動支出減分5%投入の場合→200円、同2.5%の場合→100円、同1.0%の場合→50円となった。*4

f:id:ish3173:20200407182458p:plain

表 授業1回当りの「ログボ」試算結果

印象は個人差があるだろうが、試算した当人である僕が学生だったら、1回当り50円は判断に迷うが、1回当り100円なら、ほぼ時間通りログインや参加をするだろう。

併せて、1科目当たり、学生1人半期当たり、学生1人通年当たりでどのぐらいの金額になりそうかも表に示している。学生1人の半期当たりや通年当たりの金額は、長期的な視点も視野に入れた学生の動機付けに使えるかもしれない。

 

4. 運用上の課題の考察

・「ログボ」の付与条件をどう設定するか?

→「出席」、「視聴時間」、「発言回数」、「課題提出」、「小テストの基準点到達」などが考えられるが、いずれに設定するかは各授業担当教員の判断とすればよいと考えている。

 

・授業1回当りの「ログボ」付与管理は大変だ。1科目当たりの単位習得で運用のほうが効率的ではないか?

→それでもよいと思われる。併せて、履修者の学習状況の適切な管理と期末評価を各担当教員にお願いする。

 

・「ログボ」の受給権発生をいつとするか。どのように給付するか?

→次期セメスター開始時に学籍があることで受給権発生とする。

そのうえで、給付方法のプランAは、次期学費のディスカウントである。

これが、リテンション率維持・向上&学費未納抑制策にもなり得ると考える。

また、教育研究事業の質と量の継続を前提とした際に大学として実現可能なディスカウント(実質学費返還)額を予め設定&説明することで、次期以降の学費請求に対して学生や保護者が抱く不信感を少しでも緩和できるのではないかと考えている。いわば、冒頭にあげた「大学経営の持続可能性(≒未来の学生の学習機会と質)」と、学生や保護者が抱く学費還元への期待とのバランスを取るということである。

そして給付方法のプランBは、学習上必要な書籍・電子機器等の購入、留学、学食など、正課内・外の学習費、学内提供サービスの利用費に充てられるようにする案である。プランBはバウチャーによる給付、(既に制度のある大学では)「学内マイル・ポイント」制度の活用も考えられる。ただし、これは使途と使用環境が限定されるため、その点の不満は出るだろうし、事務処理も面倒かもしれない。*5

 

・実際に始めたとして来年度以降どうするのか?

→全学的オンライン授業運営をやめたら還元もやめる。あくまで、授業のオンライン化で浮いたコスト分の金額を臨時措置で還元するというアイデアだ。完全にオンライン大学化して恒常的に浮いたコストがあるなら、何かしらの質の向上に充てるか、学費値下げでもすべきではないか。

 

5. おわりに

以上のように、私立大学における「ログボ」制度を、“大学教育の現実”と“大学経営”の2側面から考察した。しかし、a.授業参加継続のインセンティブ付与と、b.学費還元策、この2つは、別々に考えたほうが良いかもしれないと今は考えている。なぜなら、1か月先の見通しすらまだ読めず、また大学としても未知の危機に対応している今、過去の財務構造と同じ枠組みから金額を算出し、それをすぐ給付に充てようという考え方自体ナンセンスとも捉えられるからである。

上記a.は、教員それぞれの勘や経験、教育方法論や教育工学の知見などで何とかなる、あるいは、学生は(積極的に授業に関与するかは不明だが)留年への恐怖から単位習得まではついてくるのであれば、大学として先述のような財政的措置を取る必要はないとも考えられる。

また、上記b.は、判例に則り「そもそも還す必要ない」という態度を貫くこともできるかもしれない。あるいは、学費の一部還元の意志は持ちつつ、しばらくはどんな要望や不満の声が上がってこようとも耐え忍び、コロナ禍が落ち着いた段階で浮いたコスト分の金額を学生に還元する、という対応もアリかもしれない。正直にいえば、「ログボ」制度よりこちらの対応のほうが、未知の危機に対するリスク回避策としては適切とも考えられる。*6

粗々な考察で最後は「ログボ」実施に対する否定的見解も述べたが、このメモの共有が各大学が現在抱えている課題解決、検討中のアイデアの実現などに役立てば幸甚である。

 

[i] 放送大学の学位授与率、MOOC等の課題達成率を参照するに、仮に2~3か月ものオンライン学習10~15科目分の継続を考えた場合、多くの学生は単位習得までついてこられないのではないかと危惧している。筆者自身も、「金・恐怖・洗脳」のいずれかの影響を受けなければ積極的に動かない怠惰な学生生活を過ごした?ので、今回は「金」に着目して制度を考えた。

[ii] ただし、僕は財務や施設、人事畑の人間ではないので詳細な数字は把握していない。実際にどのぐらいコストが浮くかは、各部署の協力も得ながら試算すれば詳細な見積る必要がある。

[iii] 留学生比率の高い大学、元々中退率が10%、20%と高めの大学はイベントが発生する可能性が高いので心配である。

[iv] ただし、一部の大学では著しい定員割れが発生し、補助金が減額あるいは不交付となる恐れはある。

[v] 韓国は、https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200403-00036214-hankyoreh-kr 

 中国は、https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-02-26/Q6AAM5T0AFB501

 https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00030/040100089/?P=3&mds

 などを参照。(いずれも2020年4月6日アクセス)

[vi] 参考資料はhttps://www.cao.go.jp/consumer/doc/shudan_20101216_shiryou2.pdf

(2020年4月6日アクセス)。

[vii] オンライン授業環境整備のためにシステムやコンテンツの充実に大規模投資する大学はあるかもしれないが、過去の各学習支援サービスや図書館サービスの学内利用率等に鑑みると、果たして費用対効果が大きいか疑問である(将来的にオンライン大学を目指すなら話は別)。学生の積極的参加を促す授業設計や運営方法の工夫への投資とのバランスを考える必要がある、というのが個人的見解である。もしかしたら、現運営に係るサーバーレンタル費、消費電力などが大きな負担になる大学があるのかもしれないが、そんな大学はあるのだろうか…。

 

追記

*1:ただし、「現在の日本では」主たる学費負担者が保護者である世帯が多いため、今後の社会保障景気変動により、本人の学習意欲は高いにもかかわらず、保護者の失業や収入急減によって退学を選択する学生が多数出てくる大学があるかもしれない。このような中退は、家計急変の学生を支援する公的あるいは私的ニード型奨学金による支援により防止することが望まれる。(2020.4.23)

*2:オンライン化授業運営に際し、大学側から教科書の発送を検討している大学があると聞いた。それは配送1人1回当たり1000円前後のコスト増に繋がるので、負担の大きい支出増策である。こういう事態への対処に鑑みても、学生の書籍購入方法は普段のキャンパス運営から改善を検討したほうが良いかもしれない。(2020.4.8)

*3:2019年4月23日現在、在学生に給付金・奨学金を支給する私立大学が3つ分かっている。就実学園は1人3万円で約9000万円(3万×3000人)、これは単年度事業支出規模約65億円の1.4%である。明治学院大学は1人5万円で約6億円(5万×12300人)、これは上記支出規模約65億円の3.2%である。そして、芝浦工業大学は、1人6万円で約5億4千万円(6万×9000人)で、同支出規模200億円の2.7%である。財源は引当金や基本金の取崩しなども考えられるため、本稿と同じ単年度内の収支のやり繰りとは限らない。しかし、支出規模の5%とまでいかずとも、約1~3%を給付に用いる施策が非現実ではないことが確認できた。(2020.4.23)https://news.yahoo.co.jp/byline/ishiwatarireiji/20200423-00174838/ 

*4:実際の運用上、オンライン学習の継続インセンティブをさらに高めるのであれば、各回均等ではなく、複利計算、指数関数等の考え方を応用し、累積・継続「ログイン」に応じて増額させていくのも有効か。(2020.4.15)

*5:昨今話題となった、国政における使途限定金券配布案と現金給付案に対する世間の反応に鑑み、学費ディスカウントをプランAとした。しかし、①大学として年度内の流動資産を極力残すこと、②実質的には大学の財政負担となれども、その負担を数年に分け標準化させること、③期待よりも利用率の低い学内サービスの活用に繋げること、これら3点を重視するのであれば、短期間で給付する学費ディスカウントより、学内マイル・ポイントなどのキャンパス内通貨制度で還元とするのが望ましいだろう。(2020.4.8)

*6:年度内に別の使途で支出し結局浮いた現金が発生しなければ、その旨を弁明すればよい。浮いた現金があったとしても、「元々災害リスクも織り込んだ学費設定」「意図的ではなく想定外の事象で発生した収入超過だったが今後の教育研究のために有効に活用させてもらう」という弁明が通るかもしれない。この場合、基本金組入れや資産取得など、長期的視座にたった財政基盤構築に利用するのも有効だろう。また、そもそも、現在の学生は過去の学生が納めた学費の恩恵で、現在のサービスや施設設備を利用できている面がある。元々、負担が世代を超えて極力標準化される仕組みがある以上、多少「割に合わない」と思う学生が多い年度があったとしても、その世代にだけ特別に還元することは公平性・公正性の観点から望ましくないともいえる。(2020.4.8)

大学による大学職員向けプログラム等の紹介ー「SD」の参考にー

twiiterでは書ききれないので久しぶりに記事にしました。
 
先日某地方私立大学で働く方から質問を受けました。
「地方にいながらも本学職員が受講できる大学職員向けプログラムはないか」と。
ざっくりではありますが、そこで提供した情報を少しアレンジしてまとめてみました。本来なら比較表を作ってわかりやすくしたいところですが、今回はリンクのみです。
 
今回は、高等教育機関が提供する、高等教育、大学経営または実務に関連した分野をある程度継続的又は体系的に学べるプログラムを選びました。
ただし、各大学や団体、持ち株会社含む企業等によるものは除外しました。*1
また、学士課程も除きました*2
少なからずバイアスを含むのはご容赦を。
なお、並び順は適当(原則東→西の経度順)です。
 
1.大学院学位取得型
 
東京大学:教育学研究科 総合教育科学専攻 大学経営・政策コース
http://ump.p.u-tokyo.ac.jp/
 
桜美林大学:大学アドミニストレーション研究科(通学課程) | (通信教育課程)
http://www.obirin.ac.jp/postgraduate/graduate_course/index.html

名古屋大学:教育発達科学研究科 教育科学専攻 高等教育学講座
https://www.educa.nagoya-u.ac.jp/faculty/index_e_e04.html

京都大学:教育学研究科 教育科学専攻 高等教育開発論講座
https://www.educ.kyoto-u.ac.jp/graduate/research_content/education_science/higher_education_development_theory_course

広島大学:教育学研究科 高等教育学専攻
http://rihe.hiroshima-u.ac.jp/education/graduate-overview/


※一部科目履修制度あり。
名城大学に学校づくり研究科がありましたが、既に募集停止。
※2018年度より、追手門学院大学が大学院経営・経済研究科に大学経営に特化した研究領域を設置予定(↓URL参照)。
http://www.yomiuri.co.jp/adv/local/release/00025735.html
 
2.履修証明プログラム
 
東北大学:LAD(アカデミック・リーダー育成プログラム)
http://www.ihe.tohoku.ac.jp/CPD/lad
 
千葉大学:ALPS履修証明プログラム(アカデミック・リンク教育・学修支援専門職養成履修証明プログラム)
https://alc.chiba-u.jp/ALPS/sd.html
 
筑波大学:Rcus大学マネジメント人材養成
http://www.rcus.tsukuba.ac.jp/program/index.html
 
京都大学:私学経営アカデミー ※「職業実践力育成プログラム」
https://www.coc.kyoto-u.ac.jp/event/view/6
 
 
3.オンライン
 
東北大学PDP(専門性開発プログラム) Online
http://www.ihe.tohoku.ac.jp/CPD/PDPonline/
 
ペンシルバニア州立大学:Master of Education in Higher Education
http://www.worldcampus.psu.edu/degrees-and-certificates/higher-education-masters/overview
 
4.番外編:最近流行りのIR初級者向けオンライン講座 ※一部大学外
 
ペンシルバニア州立大学:Graduate Certificate in Institutional Research
http://www.worldcampus.psu.edu/degrees-and-certificates/institutional-research-certificate/overview
※その他、海外大学のオンラインIR履修証明プログラムは↓(藤原2015)を参照
http://iir.ibaraki.ac.jp/jcache/lib/docu/001_h2702/001-h2702-31_fujiwara.pdf
 
gacco:「社会人のためのデータサイエンス入門」(J-MOOC)
http://gacco.org/stat-japan2/
http://gacco.org/stat-japan/

gacco:データサイエンス・オンライン講座(J-MOOC)
:「誰でも使える統計オープンデータ」
http://gacco.org/stat-japan3/
 
以上です。
念のため、この情報を読む際の注意点が3つあります。
1つ、筆者がすべてを受講したわけではなく、その質を保証するわけではありません。同時に、ここに書かれていないものの中にも質の高いものがあるかもしれません。
2つ、提供者やプログラム名は違えど、同じようなことを学べる機会は他にも多々あります。例えば、他の研究科や専攻でも大学経営・高等教育を専門に研究している教員や学生はたくさんいます。また、同じくくりでまとめたものでも、カリキュラムや専任教員数、学生数にはばらつきがありです。
3つ、単発物でも最近はデータ分析系のセミナーは数多く、使用する統計ソフトやレベルも多様です。↑にはオンラインで受講可能なIR初級者向けプログラムを挙げましたが、それぞれの技量や使用ソフトに応じて自分で探すのが一番良いかも知れません。例えば、参加資格は限定されますが、ある程度知識や経験のある人であれば、東京大学社会科学研究所の計量分析セミナーはSPSS、Stata、Rなどの各種統計ソフトを用いた分析手法を、更にはSSJDAに登録されている質の高いデータを利用し、非常に安価で学ぶことができる貴重な機会です*3。 
 
ここに書いたような情報はごく一部です。
募集時期が限定的だったり、コンペティティブですぐに定員が埋まってしまうものもありますので、普段からアンテナを張っておくとよいかもしれません。
これらの情報が踏み台となり、自らあるいは自大学職員に合うプログラムを探したり、試しに受講したりするきっかけになれば幸いです。


※9.24追記
その他、網羅的でない部分はこちらのスライド39もご参照ください。

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/015/gijiroku/__icsFiles/afieldfile/2015/06/12/1358792_04.pdf

*1:各大学内部のものは多々ありますが、例えば上智大学の「大学マネジメント講座」など。http://www.sophia.ac.jp/jpn/info/news/2016/9/globalnews_2051/20160928press 企業(大学の持ち株会社)によるものは早稲田大学アカデミックソリューションのQUONアカデミーなどがあります。https://www.quonb.jp/university/sdseminar.html

*2:大正大学 教育・学校経営マネジメントコース

*3:http://csrda.iss.u-tokyo.ac.jp/seminar/quanti/2017summer/