社会科学分野の外部試験活用による学修成果の可視化の一例

他の方のブログ記事*1を拝見し、EREという懐かしいキーワードを見て刺激を受けたので、新しい記事を投稿します。

 

近年、大学において学修成果の可視化が非常に重要視されています。

 

英語力については、TOEFLTOEIC、英検など一般的知名度の高いものが多く、これらを活用している大学や企業は少なくありません。

ちなみに、経済学では経済学検定試験(以下:ERE)というのがあります。これを学修成果の可視化や、さらには単位免除、試験免除に活用している大学は意外と多いのです。

大学や学校での取り組み|ERE 経済学検定試験

 

上記のブログ記事で知ったのですが、青山学院大学の経済学部は、学部生の受験料を全額学部負担するという手厚いサービス。大学ポートレートの学部の特色にも記載がありました。

青山学院大学 経済学部 学部の特色|大学ポートレート

早稲田大学上智大学学習院大学等では大学院入試の筆記専門科目の免除、そのほか、単位認定や学費負担軽減に活用している大学もあります。

経済学部ならERE、法学部なら法学検定など、社会科学系においても学修成果の可視化の材料となる外部テストは、探せば意外と多いようです。

 

ただし、それらの外部試験が、学部ごとのディプロマポリシー、企業等が求める能力に繋がっているかは個別に検証する必要があるでしょう。

ちなみに、私も学生時代にEREを受験しA+ランクを取得しましたが、大学院入試や就職活動ではそれを上手く活用できませんでした。

一方、別の大学で先にSランクを取得していた友人は、就職活動の際に専門的能力や知識を企業から評価されたためでしょうか、シンクタンクに就職し、経済エコノミストとして活躍しています。

もちろん、それだけが評価されての採用ではなかったはずですが、高得点者は実名が公表されるEREのハイスコアという結果に、高度な専門的能力の可視化に繋がるシグナリング機能が少なからずあったのではないでしょうか。

 

本記事で書いたEREや法学検定の他にも、様々な分野で、学修成果を可視化できる外部試験は存在すると思います。

これは完全に余談ですが、最近、私自身や(今後の)部下の心身の健康管理のために、健康管理能力検定*2の2級やメンタルヘルス・マネジメント検定*3のⅡ種ラインケア・コースを受験してきました。

マイナーな資格なので一般的にはあまり知られていないと思いますし、これらが今後の自分のキャリアに役立つかはわかりませんが、ささいな学「習」についても、その学「習」成果を可視化できるものが世の中にはあることに気づきました。

学位といった長期的なものに関わらず、短期的なささいなものでも、こうした外部試験を探し出して活用し、学修成果の可視化や学生の学習意欲に向上に繋げていくことも教学マネジメントの上では重要なのだと率直に感じました。

 

次回は、国立大学の文系学部改廃をテーマにしたIRerの頭の体操をテーマに書きます。 

 

※このブログの内容は個人的意見や見解です。所属組織とは一切関係がありません。

カレッジスコアカード(College scorecard)の紹介

昨日初めて知った「カレッジスコアカード」(アメリカの大学情報検索サイト)。最近できたサイトだそうだ。
ここでは、ほとんどの大学の①年間あたり授業料、②卒業率、③卒業生の10年後の平均年収が検索結果一覧に出てくる。
社会保障番号により、奨学金を受給している学生と国税局の持っているデータを繋げることができるために、このような情報公開が可能になっているそうだ。
日本でも、マイナンバーを活用すれば、学校基本調査と学校法人基礎調査、日本学生支援機構国税庁のデータを繋げて同じような情報を作り出すことはできるだろう(サンプルが偏るかもしれないが)。それを共通の枠組みで公表出来るかというのが、日本の難しいところです。
https://collegescorecard.ed.gov/

collegescorecard.ed.gov

 

個人的には、競争的資金を除き、運営費や経常費補助金による機関補助中心の仕組みよりも、その財源を奨学金の充実に回し個人補助中心の仕組みを作ったほうが効率的になるのではないかと考えています。マイナンバー制度がスタートすれば、学生支援機構等がそれを活用し、一括管理することもできますし。文科省及び外郭団体等の行政コストの削減や、大学の事務負担の軽減、大学市場のフェアな競争環境の整備などを実現することが可能だと考えています。

複雑な補助金の計算やチェック、定義や基準が曖昧な特別補助の必要性はありません。消費者である受験生から評価されている大学には、多くの学生が集まり、学納金を通して間接的に補助金を受け取ることとなります。機関補助がなくなれば学費が上昇するかもしれませんが、機関補助分の金額を学生の奨学金に充てるので、学生の学費負担の大幅な増加は発生しないでしょう。もし、発生したとしても、それはその大学がそれだけ価値のある教育設備や教員、教育研究サービスを提供しているためと説明すれば良いのです。政府が均一の教育研究サービスを保証しているわけではないのですから、画一的な価格設定は不要なはずです。それぞれの大学がそれぞれの規模や特色に応じて、適切な価格設定をすればよいのです。高価であっても、消費者である学生がそれだけの投資価値があると判断すれば、学生は集まるでしょう。

なお、機関補助ではなくとも、学費を通して間接的に補助金を受ける大学には、引き続き情報の公開が求められます。

もちろん、これらの実現には、認証評価機関による大学の第三者評価が機能しているか、優れた取り組みを行っている大学が消費者から評価される仕組みがあるか、といった課題はあります。

しかし、これからの更なる少子化の時代には、本当に経営力や社会のニーズに答える能力のある大学しか生き残れないと思います。上記のような制度転換を実現し、大学業界の市場機能を活性化し、大学の生存競争能力を高めていくことも必要な時代にきていると思うのです。

 

※参考:その他の大学情報検索サイト
・カレッジナビゲーター(アメリカ)
https://nces.ed.gov/collegenavigator/

・大学ポートレート(日本)
http://portraits.niad.ac.jp/

・大学ポートレート私学版(日本)
http://up-j.shigaku.go.jp/

・ユニスタッツ(イギリス)
https://unistats.direct.gov.uk/


追記

編集後に見つけたニュース。ご参考まで。

http://toyokeizai.net/articles/-/87710