大学への機関補助から学生への個人補助への転換(高等教育バウチャー)について

2,3年前から、いつか実現したいと思っている政策を今日はざっくり書こうと思う。

 

現在、国公私立あわせて毎年度約1.9兆円の大学への機関補助のうち、7千億円(4割程度)ほどを個人補助へと切り替える。7千億円という数字は、高等教育への初年次参入に対して、一人当りこれぐらいあればなんとかなるであろう金額から導いたものである。

 

仮に7千億円を個人補助として、その分配方法は、18歳以上の年齢からいつでも使える100~120万円の使途限定高等教育バウチャーの配付。使用のタイミングは25歳だろうが30歳だろうがいつでもよい。

 

根拠は、政府による高等教育を受ける者への投資効果は大きくプラスである一方、高等教育へのアクセス機会は世帯所得や親の属性、社会的立ち位置による影響を受けるから。機関補助中心であることが機会格差縮小を妨げ、投資効果を弱めている。これは、全くもって社会や経済の一般均衡解ではない。

 

個人補助のメリットは、高等教育アクセス機会の均等化、アクセスにおける世帯所得等の影響の緩和、行政コストの削減、大学の事務負担の軽減、学費価格設定の適正化(市場化)、学生本人の学費負担の自覚の促し等にある。

デメリットは、想像力の欠如かもしれないが、ほとんど思い当たらない。あえて、「部分均衡」的なものをあげれば、どこか仕事がなくなる部局や組織が出てくること。そういうところは、存在意義は別のところで発揮できるよう自分たちの仕事を考え直せばよいし、それができないなら淘汰されればよい。行政側である場合、コストカットした上で税の投資効果を上げられるならそれより望ましいことはないし、それによって存在意義がなくなるようならそもそも社会に必要ないのではないか。他の部局や産業に労働力等の資本が流れたほうが効率的である。

 

あとは、マイナンバーを使うことになると思うが、これはリスクであってデメリットではない。また、政府と本人間における資源分配であるゆえ、教育バウチャーについては学校がマイナンバーの収集や保守をする必要はないし、また、マイナンバーを使うリスクは他制度でも同様であり、高等教育政策に限った話ではない。

 

ちなみに、たまに提唱される高等教育の無償化には2.5兆円ほどしかかからないという試算があるが、その程度なら無駄な医療費を削れば簡単に捻出できるという意見もある。これについては、私も社会保障に関する実務経験(審査側)を経て、本当にそうだと実感するし、実現願いたい。が、「医療費削減→成人の教育費への充填」は、世論も業界団体も厚労省も激しく抵抗するだろう。おそらく、他のテリトリーとのパイの奪い合いより、高等教育予算内での分配方法の転換:機関補助→個人補助のほうが現実的である。

 

さて、学生視点にたつと、初年次に120万円あれば、たいていのケースは最短でも半年はもつだろう。高等教育への参入障壁の軽減という目的であれば、これで必要最低限は満たせると思う。あとは、成人であれば、バイトや奨学金の獲得や人脈で上手くやっていく必要がある。もちろん、大学や回りの人からのサポートがあるに越したことはない。

 

「機関補助が減ったら学費上がるよ」ということであれば、上げればよい、というより上げて然るべき。ほぼ横並びではなくて、インプットの費用または限界効用から独自に価格設定すればよい。自分のところの教育サービスにどれだけの価値や評価があるか再確認し、需要と照らし合わせながら価格を設定すればよい。もしそれに自信があるとすれば、高価格にすればよい。国立のほうが本当に質の高い教育サービスを実現しているなら、それを価格転化すればよい。

 

この業界の悪いところだが、理念とかいう何も根拠もない訳のわからないものではなく、エビデンスベースで政策考えるべきである。政策は宗教じゃないんだから。
毎年のように「新しい分配政策を思いついた。どうだ⁉」と、根拠に乏しく、また各々の専門家から「この支給基準や要件はなんだ?」と思われるような政策を打ち出していく様は、「裸の王様」のようにも見える。

 

やりたい政策から資源分配を考えるんじゃなくて、実証や過去の検証、評価を踏まえて導き出した効率的かつ効果的な資源分配から取るべき政策を立案していかなくてはならない。無限または余裕のある私費じゃなく、有限で予算制約の厳しい税金使ってるんだから。

 

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http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/062/gijiroku/__icsFiles/afieldfile/2015/02/02/1354813_7.pdf

 

http://www.kodaikyo.org/wp/wp-content/uploads/2014/12/factbook_2013.pdf

 

http://www.shigaku.go.jp/files/s_hojo_h27.pdf